JETRO事業 CES2024派遣プログラム成果報告会は、2024年2月29日に開催されました。2024年1月9日から世界最大級のテクノロジーの祭典であるCESがラスベガスで開催され、現地に株式会社イノフィス様とTECHMAGIC株式会社様の2社が渡航されました。今回は2社の担当者である株式会社イノフィス 海外事業担当 マネージャー 于雅佶氏とTECHMAGIC株式会社 CEOオフィスマネージャー 関谷麻里子氏のお二方がご登壇され、東京コンソーシアム事務局と共にCESの感想や裏話、支援内容について対談しました。
開会にあたって東京都の吉木氏から会場に集まった皆さまに向けてご挨拶がありました。
吉木氏:東京都は今年度JETRO様と連携しまして今後海外展開を視野に入れて急成長が見込まれる有望スタートアップさんをアメリカで開催されたCES2024派遣プログラム成果報告会で会場でのビジネスマッチングを支援しました。CESは非常に大規模なイベントで世界中から13万人以上が参加するだけでなく、海外の大企業の経営層なども参加される大規模なイベントです。東京都はそういった機会を紹介し実際に現地に渡航していただき、今後海外企業との資本業務提携や協業のプロジェクトのきっかけを手にしていただきたいという思いを込めてこのプログラムを実施しました。今回プログラムを支援していただいた東京コンソーシアム事務局のお力添えもありとても良いものになったと思います。
私もCESで海外に出張し商談の様子を見ました。まさにその場で商品を体験して商談するというかたちで行われ、密度の高い商談となったのではないかと考えます。
今回CESで得た知見についてフィードバックいただくことで、海外展開をより身近なものにしていただき、エコシステムをより強力なものにするということが今回のプログラムの狙いでした。この成果報告が今回参加していただいたスタートアップさんにとって有意義な時間であることを願います。
株式会社イノフィス 于雅佶氏とTECHMAGIC株式会社 関谷麻里子氏のお二方に加え東京コンソーシアム事務局(デロイトトーマツ)の伊達の3名による座談会が行われました。「CES渡航前の支援について(ナレッジ共有、商談調整等)」と「CES渡航中の支援について(有望企業との商談、現地での商談支援等)」の2つのアジェンダについて対談しました。
伊達:我々は展示以外のマッチングや商談をご支援させていただきました。一般的な支援として現地に行ってハンズオンするというものもありますが、今回は事前に商談先のマッチングを行うかたちでサポートをさせていただいた。またCESがどのようなものであるかという説明や事前の勉強会なども開かせていただきました。この勉強会でよかった点は何かありますでしょうか。
株式会社イノフィス 海外事業担当 マネージャー 于雅佶氏(以下、敬称略):渡航前、東京コンソーシアム事務局(デロイトトーマツ)のコンサルタントの方からナレッジとして、CESに参加する目的を明確化することが大事だと伝えていただきました。CESというイベントが大きいからなんとなく行くのではなく、出展の目的をさらにはっきりしたものにして参加するべきだというアドバイスをいただきました。イノフィスは2022年のCESが2回目の出展でした。今回のCESでは企業の知名度、製品の知名度、ブランド力を高めていきたい、メディアの露出を高めていきたいという目的を持って参加しました。
伊達:短い期間でいかに効果を出すかということが大事だったため、そのようなナレッジを共有しました。
TECHMAGIC株式会社 CEOオフィスマネージャー 関谷麻里子氏(以下、敬称略):弊社は国内である程度導入実績があるので、今回の弊社の参加目的はターゲットをアメリカに絞って海外進出の足掛かりを見つけていきたいというものでした。東京コンソーシアム事務局には主に他社との商談の機会をいただきました。弊社は以前ニューヨークで小規模な展示会に出展したことはあるものの、イノフィスさんと異なり、大きな海外の展示会に出展する機会はCESが初めてでした。その際に事前に連絡先交換のポイントや商談のナレッジを共有していただき非常に助かりました。
伊達:今回事前に皆さまの商談先を調整させていただきましたが、その際年末に商談相手の企業に送った連絡の返事が年明けに来ることや、適切な企業をマッチングすることが難しいという課題がありました。しかし、最後まで粘り強くアプローチすることで皆さまが会いたいと考えている企業にお会いしていただく機会を創出できたと思います。こういった我々の泥臭いアプローチはどのように映りましたか?
于:大企業のトップの方と面会することができてとても有意義な時間だったと思います。やはり、スタートアップだけではそこまでセッティングすることができないため、非常にありがたいご支援でした。
関谷:弊社の場合、コンシューマー向けの展示会であることを踏まえて、アプローチしたい企業の希望をお伝えしていました。伊達さんが先ほどおっしゃっていたように事前マッチングの段階では頭を抱えていらっしゃって、直前まで商談が未定となっていましたが、方向転換をすることで弊社の事業と親和性の高いスーパーマーケットなどでなくても、マーケティング企業やラスベガスのカジノの企業をおすすめしてくださいました。ギリギリまで粘り強く、少しでも多く関連する企業を探してくださり最終的に多くのアポイントが確定していったため、本当に感謝しています。
伊達:渡航期間中は結果としてかなりの数の商談が組まれたため、昼食をとる暇がないくらいに忙しく、うれしい悲鳴だったと感じました。実際に現地の商談でも東京コンソーシアム事務局メンバーが同席して支援しましたが、我々のどのようなサポートが結果に結びついたとお考えでしょうか?
于:回答の前に、実際に現地に行かれるスタートアップの方々にお伝えしたいことは、「体力」が大事だということです。CES渡航期間中は毎日6社ほどの企業と商談をして、別にCESの展示の対応もあり、他にもイベント2つに参加しました。このようなハードスケジュールのなかでは体力が必要だと強く実感しました。
東京コンソーシアム事務局の支援としては、商談で弊社が自由に話すことができる雰囲気づくりをしてくれたことが挙げられます。実際の商談の現場では、その場ですぐに事業が展開するといったことはありませんでしたが、商談後のアフターフォローを手厚くしてくださったことに大変感謝しております。また、CESのような展示会で、相手に対してどのように失礼がないようにNoを言うかといったナレッジをいただきました。例えば、イノフィスは当分資金調達の計画はないのですが、商談の場に投資家などがいらっしゃり、その際にNoをお伝えしつつ彼らとのコネクションを絶やさない方法などです。こうしたアドバイスは、次の機会にも活かせるものとして実のあるものでした。
伊達:于さんがおっしゃったように、「体力」は非常に重要だと思います。海外でCESの4日間を過ごすことはとてもハードなことなので、それを乗り越えるタフさが必要だと感じました。
関谷:「体力」という話でいうと、私たちは社長を含む6名で参加し、調理デモや商談を行ったのですが非常にハードだったと記憶しています。商談についてですが、基本的には英語が話せるメンバーで行ったのですが、込み入った内容になるとついていけないこともありました。そのような場合は東京コンソーシアム事務局に入っていただいて語学の面でもサポートいただき非常に助かりました。また、現場はバタついていたのですが、東京コンソーシアム事務局が商談相手の情報を補足してくれたり、アドバイスをくれたりするなど交通整備もしていただきました。
東京コンソーシアム事務局 森本:最後にJETROの皆様が海外事業を展開しているということでいくつか事例をご紹介いただきます。
JETRO:株式会社イノフィスの于様、TECHMAGIC株式会社の関谷様、CESでの経験をご共有いただきありがとうございました。本事業でのご支援を通じ、多くの企業とコネクションを築き、認知度が向上するという大きな成果を挙げられたことを嬉しく思います。東京コンソーシアム事務局の皆様もご支援いただきありがとうございました。
JETROではさまざまなプログラムを通じてスタートアップの海外展開支援に取り組んでいます。本日はその中から3つ紹介させていただきます。1つ目は海外イベント参加支援です。今年度はCESへの参加を30社支援していて、来年度はVIVA TECHNOLOGYに10社程度ご支援する予定です。2つ目にアクセラレーションプログラムがあります。アクセラレーターの幅広い講師陣によるレクチャーや、海外投資家やパートナーとのマッチングを通じて世界展開に向けた高い視点と海外コネクションを獲得することが期待できます。最後にGlobal Acceleration Hub(GAH)です。GAHでは現地のビジネス環境を紹介したり、提携先のアクセラレーターのメンターから資金調達やピッチに関するアドバイスをしたり、パートナー候補企業やベンチャーキャピタルを紹介したりすることができます。ご関心がありましたらホームページやFacebookをご覧ください。
森本:皆様、本日はご参加いただきましてありがとうございました。