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Bio Wellness Tokyo Startup Pitch イベントレポート

2023年1月19日に日本橋ライフサイエンスビルディングにて開催された「Bio Wellness Tokyo Startup Pitch」のイベントレポートです。

1. 概要

東京コンソーシアムでは、2023年1月19日に、スタートアップや様々な支援者(企業、VC、大学、自治体等)を対象に「Bio Wellness Tokyo Startup Pitch」を開催いたしました。当日は、東京圏に拠点を置き活躍されるスタートアップ5社の経営者の方々に日本橋の会場で御登壇いただき各社の事業概要や解決しようとする社会課題等について発表いただきました。オーディエンスの皆様には会場とオンラインでご参加いただき闊達なディスカッションを行って頂きました。

2. イベント実施概要

東京コンソーシアムにおける「Bio Wellness Tokyo Startup Pitch」の位置付け

東京コンソーシアムは「スタートアップ・エコシステムのグローバル拠点都市としての地位を確立する」を目標に活動を続けています。東京は、国内トップ大学の3割、Fortune Global500企業(世界2位)が集積しており、スタートアップを育む資源が豊富にあり高いポテンシャルを持っています。

本日のピッチは東京コンソーシアムの取り組みの1つであるバイオ・ウエルネスWG(Working Group)によるものです。WGは「バイオ・ウエルネス領域におけるシーズの事業化、投資促進、市場拡大に向けた取り組み」を行っております。

我が国における「ヘルスケア/創薬・再生医療・バイオテクノロジー」の現状と目標について

少子高齢化に伴う社会保障費(年金、福祉等)の増加という課題をテクノロジーで解決しようとする取り組みの重要性が一段と高まっています。下図ではヘルスケア領域を健康・予防(Pre-hospital)、診断・治療(Intra-hospital)予後・介護(Post-hospital)のフェースに分けています。昨今、各フェースでIT技術、デジタルデータを活用した様々なサービスが提供されていますが、特に診断・治療の前後にあたる“Pre”、“Post”hospital領域の市場規模の拡大が見込まれています(各々10.3→12.5兆円、17.3→20.6兆円、共に2020年→2025年)。

この動きに合わせ、政府や民間企業も電子カルテ・診療報酬、レセプトデータ等のビックデータを活用したシームレスなサービス提供を構築すべくデジタル化を推進しています。

一方バイオテクノロジー領域について、東京圏は世界のバイオコミュニティーと比較しても豊富なアカデミアシーズや開発パイプラインを所有しています。政府はバイオ戦略2020の中で「2030年までに世界最先端のバイオエコノミー社会を実現」する目標を達成する為に、東京圏にGreater Tokyo Biocommunity(GTB) を発足させました。

GTBでは、研究開発から事業化までの各機能を担う多種多様な機関を圏内に集積・ネットワーク化して戦略的なバリューチェーンを構築すると共に、世界中から人材や投資などをひきつけ市場に魅力的な製品・サービスを提供する ”バイオイノベーション ハブ” となる為の体制を確立する事を目標に推進しています。

バイオテクノロジーは、医療・医薬品開発だけでなく、素材・化学・農業・食品等かなり幅広い産業で研究開発、利用が進んでいます。本日のピッチでは、Wellness(Healthcare)領域から3社、Bio領域から2社のスタートアップに御登壇いただきました。

ご登壇企業5社のご紹介

ヒューマンライフコード株式会社

ヒューマンライフコード(東京中央区)は、“臍帯組織(へその緒)”を利用した、細胞医薬品を社会実装する創業6年目の創薬バイオベンチャーです。当社は東大医科学研究所の技術シーズをもとに、へその緒由来の間葉系細胞を大量培養して製造する細胞医薬品の研究開発に取り組んでいます。同時に、持続発展性のある細胞医療を実用化するため、廃棄されているへその緒から製造する細胞医薬品をアンメットメディカルニーズのある一人でも多くの患者へ届けるサプライチェーンの座組をパートナリングにより構築しました。現在、造血幹細胞移植後の非感染性肺合併症という致死率の高い難治性疾患に対して第2相試験が行われています。

株式会社インテグリティ・ヘルスケア

インテグリティ・ヘルスケア(東京都中央区)は、医師と患者を相互につなぐオンライン疾患管理システムYaDocを開発・提供する企業です。現在は全国の医療機関約4,000施設にサービスを提供しています。東京地区のみならず、離島の多い長崎県の「あじさいネット」等の地域医療とのネットワークとの連携も強化されています。難病の患者の遠隔診療や生活習慣病患者のデバイス連携による食事や運動の管理等、患者にとっての利便性も高く喜ばれています。

株式会社アルガルバイオ

アルガルバイオ(千葉県柏市)は東大発の藻類の研究開発の成果やデータベースを利用し、健康・食料・環境といった産業領域に最適な藻類技術を提供する企業です。藻類を利用した産業は、バイオ燃料やクロレラの様な健康食品と言った形で注目されていますが、30万種もあると言われる藻類のうち30種程度しか産業利用されていません。当社は必要な産業・市場に必要な藻類を提供できる様に藻類のバイオファウンダリーを構築しマーケットイン型ビジネスモデルを目指しています。

株式会社クォンタムオペレーション

クォンタムオペレーション(東京都中央区)は、非侵襲な血糖連続モニタリング可能な独自の光学デバイスを開発、提供しています。現在、血糖自己測定(採血)は必ず侵襲が必要で苦痛が伴います。当社の光学デバイスは痛みを感じる事なく常時血糖値が測定可能で患者のQOLを向上できます。他にもグループ会社にて医療機器品質の指輪型のパルスオキシメーター(バインスタ🄬リング)等のIoT機器開発や国内・海外の患者向けに薬局の運営、オンライン服薬指導の提供なども行っています。

株式会社イノフィス

イノフィス(東京都新宿区)は、東京理科大発シーズを利用し、腰や腕のアシストスーツを開発、販売する企業です。少子高齢化による労働人口の減少や介護者の負担増、高齢者の自立等、ソリューションとして当社のアシストスーツを提供しています。当社の製品はモーターやバッテリー等を用いず軽量で装着しやすいのが特徴です。実証実験では最大45%腰の負担を軽減できるとの結果も出ています。主に介護や製造の現場、農業、建設、等で使用される顧客を持ち、既に世界18ヵ国、地域(日本を含む)で販売されています。

ご関心をお持ち頂けたスタートアップ企業の詳細に関しては、各社HPにてご確認いただけると幸いです。

イベント概要

  • 開催日時
    1月19日(木)18:00~19:30
  • 場所
    日本橋ライフサイエンスビルディング
  • 登壇者
    ヒューマンライフコード株式会社 創業者・代表取締役社長 原田雅充氏
    株式会社インテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長 武藤真祐氏
    株式会社アルガルバイオ 代表取締役社長 木村周氏
    株式会社クォンタムオペレーション 代表取締役 加藤和磨氏
    株式会社イノフィス 執行役員 営業開発本部長兼海外事業部長 依田大氏