東京コンソーシアムでは、2022年7月4日に今年度第1回のイベントとして、スタートアップや、スタートアップを支援する様々なプレーヤー(企業、VC、大学、自治体等)を対象に、スタートアップがユニコーンになる上で必要な要素やアプローチ・支援等について理解を深めていただく「ユニコーン級企業創出に向けた機運醸成イベント」を開催いたしました。当日はラクスル株式会社取締役CFO 永見世央氏を、お招きしパネルディスカッションを行いました。本イベントには、オンラインとオフライン合わせて135名の方々にご参加いただき、大変多くのご満足の声をいただきました。
ユニコーンを見据える場合、ビジョンを持つことが最も重要です。日本には素晴らしい中小企業や地方の企業がたくさんあるので、ユニコーンが唯一の正解だとは全く思っていません。しかし、本当にユニコーンを見据える場合、まず大きなビジョンを持つこと必要です。
事業のモデルを過去や他社から学ぶことが重要です。特にお金のもらい方は、トレンドもあるし、過去から学べることがたくさんあります。自分たちのビジョンやビジネスモデル自体はかなり独自のものであるべきだし、実際にオリジナルなほうが一番いいですが、お金のもらい方については一定のパターンがあります。過去からの先人たちがやってきたビジネスモデルをしっかり勉強した上で、お金のもらい方は典型的なパターンが幾つかあるので、その中で組み合わせてもいいし、定石をきちんと踏まえた上でお客様からお金をいただくことが、まず事業をつくっていく上において大事なのではないでしょうか。
資本政策については、上場した後の経営者にアドバイスをもらうことが重要と考えます。資本政策の組み方、例えば毎回のダイリューションのペースをどうすればいいのか、バリュエーションを付けるときどうすればいいのか、VCの人にどう当たればいいのか、交渉の仕方、あとは契約書のタームで気を付けるべきところについて一番知見がたまっているのは、上場したばかりや上場後の経営者です。スタートアップの世界には、成功した人がきちんとギブバックするカルチャーが結構あって、スタートアップ側からすると先人の知見を活用させてもらうことを大事にしてきました。
スタートアップが、新たに人材を採用していくうえでは、ビジョンが輝いていてワクワクすることと、今すぐ参画して助けてほしいという悲壮感が両立したメッセージが必要と思います。また、フェーズに応じてだと思いますが、スタートアップだから給与がずっと低いというのは、時代にそぐわないと考えます。ストックオプション等のアップサイドを含めて、スタートアップへ飛び込むという新しいチャレンジが幸せになるということを、経済的にも示すことが大事なのではないでしょうか。
また、想いや金銭面に加えて個人の成長をドライブできることを示す必要があります。その人自体のキャリア、会社の成長というのが共にドライブされていくことが重要です。ラクスルにおいても、「こういった仕事をしてほしい」とか「その先にこういうキャリアが得られるよ」のような説明を行っていました。
日本は旧マザーズ、現グロース市場があり、規模の面においては海外比で上場しやすい市場があります。その一方で、未上場の間に会社を大きくするということが妨げられている要因ともなっております。スタートアップが業績と共に時価総額を拡大していくためには機関投資家からの投資が重要となります。機関投資家は買うと同時にいつでも売れなければいけないので、一定規模の時価総額と売買するための流動性が必要です。一定の規模の時価総額に達しないと、その後の機関投資家が入ってこなくてスケールしないというバッドスパイラルに陥ってしまいます。こうした事態を防ぐためには未上場の間に業績を拡大し、企業価値を高め、グロース市場上場時に実施する規模の資金調達を未上場の間に行う必要があります。元々日本のスタートアップは、未上場時の資金調達がシリーズA、B、Cまでのアーリー~ミドル段階で終わっている印象です。今は会社によってはシリーズFやGという会社もあります。現在は、ラウンドを複数回重ねて粘って調達をしていくことができる環境になっているため、それをきちんと意識すべきです。
サービスの活用と規制業種の緩和の両面が行政との連携には重要です。
第一にスタートアップのサービスを使ってほしいです。スタートアップのサービスをしっかり使って、ユーザーとしてその良さを分かって、もしくはこういうところが良くないというのをユーザーとしてフィードバックできるぐらい、いろいろなサービスを使っていただきたいと考えています。
次に規制緩和です。当然、法案を通さなければいけないものもありますが、できるところからスタートアップがボトルネックだと感じているような規制や税制を変えていくというアクションを一緒に進めていくのが非常に重要な話です。
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