2024年2月1日、Tokyo Innovation base(TIB)において、大企業とスタートアップのオープンイノベーションの推進やスタートアップの事業拡大を図るイベント「Open Innovation Day」を開催いたしました。
主催の東京コンソーシアムは、スタートアップの成長加速や東京圏のスタートアップ・エコシステム形成によるイノベーションの社会実装を支援することを目的として活動しています。
本イベントでは、スタートアップ支援プログラム「ディープ・エコシステム」及び「グリーンスタートアップ支援」の今年度の採択企業も発表されました。
オープンイノベーションを実践している企業の取り組み、東京コンソーシアムが支援する有望スタートアップの紹介を通して、協業を進める上でのヒントや、スタートアップが大企業に望む支援について改めて考える機会になりました。
開会にあたって東京都の片山氏から会場に集まった皆さまに向けてご挨拶がありました。
片山:東京コンソーシアムやTIBではオープンイノベーションを推進するため、様々な形で大企業とスタートアップを繋げる機会を創出したいと考えています。
本日のイベントでは大企業とスタートアップのオープンイノベーションの可能性を探るため、「大企業がSUとどのようにして協業を進めているのか」「SUが大企業にどのような協業・支援を望んでいるのか」について情報共有できればと思います。
TIBでの新しい出会いがオープンイノベーションの取り組みに繋がり、社会を変えていくための素晴らしい機会になってほしいと思います。
宮崎:ソニーグループでは自社が保有する起業のノウハウや開発環境を、新規事業を創りたいと考える全ての人に提供し、新規事業の立ち上げから販売・拡大までをサポートするプログラム「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」を実施しています。
多岐にわたる事業化実績や社外へのアクセラレーションサービス事例をご紹介いただきました。またオープンイノベーションに必要な以下3点の重要性について、ご紹介されました。
①取り組むべき課題の明確化
②新規事業・スタートアップに対する理解
③新規事業開発能力
阿部:BOSCHでは、大企業とスタートアップの共創プロセスである”Open Bosch”という「ベンチャークライアントモデル」を採用し、スタートアップが持つ世界トップクラスのソリューションを発掘、顧客となって導入することで、自社の課題の特定や解決、イノベーションに繋げています。本取り組みは、スタートアップにとっても、世界中に拠点を持つBOSCHのネットワークにより規模を拡大できるメリットがあり、win-winの関係を築いています。製造や物流だけでなく、エンジニアリング・人事・営業といったさまざまな分野でスタートアップとの連携が広がっています。
滑川:三井住友銀行は、協業や事業創出を推進するプラットフォーム「未来X(mirai cross)」をご紹介。業界や業種を問わず幅広い顧客と取引がある銀行ならではの強みを活かし、多くの企業をつなげることで新しい事業が生み出されております。事業内容やバリューアップに向けて狙う市場を特定するために活用する「X Innovation Sheet」は、協業を促進するためにピッチイベント等で活用されています。
厳選した対象企業に対して、ユニコーン級になるまでの道のりをインプットし、達成に向けて、集中的に、深く、様々な支援を実施しています。
乙川:装着型アシストスーツを開発。「生きている限り自立した生活を実現する」ために、体の動きを補助するマッスルスーツを製品化しています。腰痛を起因とした離職・休職の軽減や、女性や高齢者の活躍機会拡大に貢献しています。
白木:食産業の「労働人口減少」や「インフレによるコスト増加」といった課題への対応と持続可能な未来のオペレーション構築を目指し、ロボットを開発しています。飲食店や工場の効率化と自動化を実現することで生産性向上に貢献します。
原田:細胞治療のソースとして胎盤と胎児をつなぐ組織である臍帯(へその緒)の可能性に着目し、臍帯から抽出される間葉系細胞を再生医療等製品として薬事承認取得、製品化しています。米国での展開の第一歩として、2023年7月にはNew York Blood Centerと細胞製造基盤技術の国際ハーモナイゼーションに関する基本的合意を締結しています。
會田:音声コミュニケーションのブラックスボックス化問題を解消すると同時に音声データを資産化する、音声AI「MiiTel(ミーテル)」を提供。電話・Web会議・対面全ての音声対話をAIで解析・可視化して、セルフコーチングを実現することで、売上向上やコスト削減といった企業の生産性向上と、音声データのアセット化に貢献しています。
今後成長が見込まれる「グリーン分野のスタートアップ」を選抜し、海外展開も視野に入れ集中的に支援を実施しています。
白水:『配線のない「デジタル」世界の実現』をヴィジョンに、マイクロ波ワイヤレス給電(WPT:Wireless Power Transfer)機器の開発、製造、販売を行う。医療ニーズに基づくインプラントデバイスの改善等に寄与しています。
北村:「労働人口の減少」「インフラの老朽化」「災害の激甚化」といった日本が抱える社会課題の抜本的な解決を目指し、送電設備やプラント施設、建設現場などでの設備点検や作業場管理を自動化するサービス・プロダクトを開発しています。
山田:低温・低圧でのアンモニア合成プロセスの開発・商業化を行っています。小型アンモニア生産モデルによるグリーンアンモニアの分散型生産を促進することで、フードセキュリティの向上を含むサプライチェーンリスクのヘッジと脱炭素化を企図しています。
久保:核融合炉の開発、、要素技術の開発・提供。核融合炉はCO2を一切排出せず莫大なエネルギーを生むことができるため、ゲームチェンジャーとして捉えられている。国立研究所(核融合科学研究所)での知見をもとに核融合炉に必要な超電導新技術実証等を行っており、2040年以降の本格商業化を目指しています。
喜田:藻類の研究開発により、ウェルネスビーイング、食糧危機、地球温暖化といったグローバル課題の解決を目指す。藻類バイオファウンドリーを構築しており、食品、素材、CO2回収など様々な分野で共同開発を行っています。
中村:実世界のあらゆる情報をソフトウェアで扱えるようにすることを目指し、画像や音声等の解析技術を用いて実世界のデータを収集・活用できるようにするエッジAIプラットフォーム「Actcast」を開発。
羽生:細胞培養技術により食用肉等を生産する研究開発を行い、持続可能な世界を実現します。細胞農業用「食品グレートパッケージ」を活用し、技術移転プログラムを大規模顧客から小規模顧客まで提供しています。
佐部:国産ドローン、システムの開発・製造・販売。ドローンの技術によって変革をもたらし、様々な作業を自動化していくことで社会貢献していきます。ハードウェアからアプリケーションまで提供できる技術力をソリューションに生かします。
中嶋:自社独自開発の車両遠隔起動制御IoTデバイスや、あらゆるデバイスが接続可能なモビリティーサービスプラットフォームの提供を通じて世界の低与信層に向けた金融包摂型フィンテックサービスを展開しています。
安藤:労働人口減少や施設老朽化等の社会課題を、「機械化・遠隔化・自動化」で解決することを目標に、プラントやインフラ整備の建設施工、メンテナンスにおけるロボット・ソリューションによる省資源化を提供しています。
久保:「化学技術により、地球の温暖化ガス削減と海洋プラスチックはじめグローバルなごみ問題解決・リサイクル率向上に貢献する」をミッションに掲げ、CO2を吸着・固形化することでガラスを生成し、ごみ問題の解決を目指しています。
大北: 脱炭素を目指した、カーボン・クレジット創出・販売事業を展開。クレジットの創出・登録・申請・販売までを一気通貫して支援するワンプラットフォームサービス「Agreen」を開発。2024年度は国内で約100,000tのクレジット創出を予定しています。
長谷川:独自AIによる各種機器・装置・情報システムの知能化を展開。業界最高レベルの独自AIにより、プラントの使用電力削減実績をご紹介。省エネAIの展開先として生産ライン、商業施設、工場等、多様な形式で提供が可能です。
堀:再生可能エネルギー発電所のお金と電力を統合管理するクラウドAIプラットフォームを開発。再生可能エネルギーの大量導入に伴う様々な課題解決のため、ユーザー目線に立ったサービス提供を行っています。
参加者の声
・普段接する機会の少ない業界の話も聞くことができて楽しかった
・大きい課題を解決するためには、やはりスタートアップと大企業が協力する必要性がある
・大学の研究の成果が想像以上に活用されていた
東京コンソーシアムは今後も東京から世界に誇るスタートアップを輩出していく為に、全力で起業家を支援していきます。今後ともご支援の程どうぞよろしくお願いいたします。